Helveticaのフォントは、1957年スイスで生まれたもので、ヨーロッパやアメリカの鉄道、地下鉄、航空会社などによく使われています。MacintoshのOSに付属されているフォントですが、Helveticaを使ってロゴにしている有名ブランドやコーポレート・タイプ(企業の制定書体)は結構たくさんあります。
Helveticaをロゴにしている場合は、太さを変えていたり、文字間を狭くしたりなど手を加えてデザインされています。何も手を加えていないものもあります。
どのように手を加えてデザインされているか比較してみると、表現の仕方やロゴの作り方が見えてきます。そのままタイプしたHelveticaと、実際にHelveticaを使っている有名ブランドのロゴと比較してみました。
それでは、よく見かける9つの有名なロゴで見比べてみましょう。まずはパナソニックのロゴから。
パナソニックのロゴは、HelveticaのBoldをさらに太くした感じで、すべての字体に細かくデザインされていてギリギリまで文字間を詰めています。
アメリカン航空のロゴは、Helveticaの要素を残し、すべての字体に細かく手を加えています。何も手を加えていないかのようにバランスをとってデザインされているように思います。
エビアンのロゴは、eとaに手が加えられているのが分かります。iの点の部分も下にきています。文字間が詰められています。
ネスレのロゴは、Helveticaに美しい丸みを入れてロゴタイプをデザインされています。
無印のロゴは、HelveticaのBoldで水平比率を縮めたようにデザインされています。シンプルでインパクトがあります。
オリンパスのロゴは、HelveticaのBoldをさらに太くして水平比率を伸ばしたようにデザインされています。OとSの文字の曲線が美しく同じようにデザインされているように見えます。こちらもギリギリまで文字間を詰めていますね。
フランフランのロゴは、字体には何も手を加えていませんが、標準のHelveticaと極細のHelveticaで強弱を付けただけのロゴデザインになっています。文字間のスペースも少し詰められていてバランスをとっています。
FENDIのロゴは、標準のHelveticaを垂直比率に少し伸ばしているだけでほとんど手を加えられていません。
BMWのロゴは、HelveticaのBoldを垂直比率に少し縮めてエンブレムに使用されています。
まとめ
いかがでしたか。ほんの少しでも手をつわえるだけでロゴの表現がガラリと変わりますね。ちなみにこちらのブログサイトのロゴマーク(TLB)もHelveticaでデザインしています。
Helveticaは、コーポレート・タイプとして表現しやすいフォントですが、手を加えて過ぎたり、バランスが崩れてしまうと、高級感や品質が失われ残念なロゴマークになってしまうので、デザインの方向性を明確にすることが先決です。
Helvetica from emmanuel cruellas on Vimeo.
投稿日:2016.11.18 最終更新日:2020.6.24
ブランディングデザイン専門家 春山瑞恵